自衛隊の採用区分ってどんなものがあるの?

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海上自衛隊輸送艦くにさき 自衛官採用試験
横須賀地方総監部
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就活をするときに、総合職や一般職、地域職など目指すものによって様々な区分がありますよね。

それは自衛隊も同様で、ひとくちに自衛隊といってもゼネラリストの幹部とスペシャリストの曹士では採用区分が異なりますし、さらにそれぞれ細分化されています。

ざっくり10個以上にもなりますので、自分に合う区分を探すのも大変です。

そこで今回の記事では、自衛官を目指す皆さんの助けとなるよう、自衛隊の採用区分について解説していきます。

この記事を読めば自衛隊の採用区分にはどういったものがあるのか、自分の目指したい自衛官となるにはどの区分を受験すればいいのかが分かるようになりますので、ぜひ最後までご覧ください。

この記事で分かること

自衛隊の採用区分にはどういったものがあるのか

採用区分(2024(令和6)年現在)

一部細かい区分についてはひとまとめにして掲載しています。

自衛隊幹部候補生

海上自衛隊幹部候補生学校

民間企業で言うところの総合職採用の区分です。諸外国で言うところの士官候補生ですね。

将来、自衛隊で師団長や艦隊司令官、飛行隊長や幕僚など、管理職として働きたいという方におすすめのコースです。

一般幹部候補生

通常、幹部候補生と言うと、この一般幹部候補生となります。

「一般」というのは特定の職域を除いた幅広い職種・職域に配置されますよというものになります。

職種・職域とは

自衛隊は小さなひとつの社会のような感じで、生活を自己完結できるようになっています。

そのため、戦闘に携わる人員の他にも経理や法務など、民間企業にもあるような担当の人が居ます。

この経理や法務、自衛隊特有のものとして射撃や水雷、機甲科といった各々の専門分野が職種・職域です。

下士官・兵にあたる曹士は細かく専門分野がありますが、曹士を束ねる幹部についてはもう少し大まかな分け方になります。

自衛隊では士官・将校という言い方はしないため、これらを「幹部自衛官」と呼びます。

とうりょう
とうりょう

海上自衛隊では「士官室」や「当直士官」など帝国海軍の流れを受け継いでところどころに士官の呼び名が残っています。

採用されると曹長の階級に任官、陸・海・空それぞれの幹部候補生学校に入校し、約1年教育を受けた後に3等陸・海・空尉の幹部自衛官に昇任します。

大学院卒で、院卒者試験を経て採用された人については一つ飛ばして2等陸・海・空尉に昇任します。

歯科・薬剤科幹部候補生

大学の歯学科出身で歯科医官、つまり自衛隊の歯医者さんを目指す人と、大学の薬学科出身で薬剤官を目指す人のためのコースです。

こちらは一般幹部候補生と異なり、専門の大学を出ることが採用の条件となっています。

幹部候補生学校卒業後は一つ階級を飛ばして2等陸・海・空尉に昇任します。

医科・歯科幹部自衛官

https://www.mod.go.jp/gsdf/jieikanbosyu/about/recruit/ikashikakambu.html

幹部”候補生”は最初に曹長という下士官(曹)の一番上の階級に任官して最初の教育(民間企業で言うところの新入社員研修)を受けて3尉以上の幹部に昇任しますが、

医科・歯科幹部自衛官の採用区分には”候補生”と言う文言が入っていませんね。

この採用区分では採用と同時に幹部自衛官の階級が与えられて任官します。この次に紹介するキャリア採用幹部も同様です。

医科・歯科幹部自衛官は、自衛隊内のお医者さんと歯医者さんを採用するものです。候補生と異なり、即戦力としての採用となります。

陸・海・空によって異なりますが、医師免許を取得(見込み含む)し、医師としての実務経験等を採用条件としているようです。経験年数により、採用時の階級が異なります。

キャリア採用幹部(旧:技術幹部、公募幹部)

https://www.mod.go.jp/gsdf/jieikanbosyu/about/recruit/gijutsukaijo-kokukambu.html

大学で応募要件の学部・学科を学んで卒業した後に業務経験のある人を、専門職域の幹部自衛官として採用して働いてもらおうというのがこのキャリア採用幹部です。

以前までは技術海上幹部・技術航空幹部と言う名前で募集されており、海・空のみの募集でしたが、

キャリア採用幹部となってからは陸上要員の募集も始まりました。

主として理系学部・学科の出身であることが要件であるものが多いですが、航空自衛隊では衛生や法務、安全保障や輸送補給といった職域での募集もあります。

応募の部門と経験年数によって、採用時の階級が決められています。

技術曹

https://www.mod.go.jp/gsdf/jieikanbosyu/about/recruit/gijutsukaiso-kuso.html

技術曹とは、陸・海・空自衛隊において、取得が難しかったり、取得している人数が少ない免許や資格を保有している人を即戦力の要員として採用しようという区分です。

同じような採用区分のキャリア幹部と異なり、こちらは資格の保有の有無だけが応募要件となっています。

ただし、航空自衛隊技術空曹の一部資格では、一定期間の業務経験や大学や短大の指定課程を修了していることが条件になっているものもあります。

以前は陸上自衛隊技術陸曹は部内(既に自衛官である人)からの選抜のみでしたが、令和6年度は公募が始まっています。

持っている資格によって採用時の階級が、業務の経験年数によって初任給が決まります。

例として、情報処理技術者試験の資格保有者であれば、基本情報技術者が3曹、応用情報技術者が2曹、ITサービスマネージャなどの高度試験取得者は1曹での採用となります。

各種採用区分で年齢の条件がある自衛官ですが、技術曹については定年未満であれば応募できる珍しいものとなっています。

航空学生

高校卒業程度の人を対象に、海・空自衛隊の航空機パイロット等を育成する採用区分です。

「等」と付いているのはパイロット、つまり操縦士のみを対象としているわけではないからです。

海上自衛隊の航空学生は戦術航空士という要員の道もあります。

戦術航空士とは

通称:タコ(TACO、TACCO)と呼ばれる。tactical coordinatorから文字をとったもの。

哨戒機に搭乗し哨戒パターンの設定やソノブイの敷設プランを設定するなど、戦術的な判断を下す航空機搭乗員。戦術調整士と訳されることもある。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%88%A6%E8%A1%93%E8%88%AA%E7%A9%BA%E5%A3%AB

海上自衛隊の航空学生は最初に約4年間の教育と飛行訓練を経て、搭乗員の資格を得ます。その後部隊で約2年間訓練を行い、幹部自衛官に任官します。

航空自衛隊の航空学生はまず2年間の座学を中心とした教育を受けたのち、約2年間の飛行訓練を中心とした教育を受けてパイロットの資格を得ます。さらに約4か月~1年の期間、戦闘機や輸送機などの航空機別に教育を受け、各部隊で活躍するとのことです。

航空学生は2士から階級が始まりますが、最終的には幹部搭乗員となります。

一般曹候補生

https://www.mod.go.jp/gsdf/jieikanbosyu/about/recruit/ippansokoho.html

自衛官になる多くの方が、この一般曹候補生と次にご紹介する自衛官候補生で入隊するものと思います。

「曹」というのは諸外国での下士官という部類にあたり、部隊の中核を担う人材になります。

入隊して2年9か月後から選抜で3曹の階級に昇任していきます。

民間企業で言うと、契約社員から正社員になるような感じです。

1年あたりの採用予定数も多く、各自衛隊で異なりますが、約1400名~約4200名とかなりの人数です。

慢性化している人員不足の影響から募集年齢制限も年を追うごとに緩くなっており、

2024年現在では32歳未満まで入隊することが出来ます。

採用予定数が多いこともあり、場合によっては年に3回も募集があります。

とうりょう
とうりょう

以前受験した際に広報官の方から、第2回目以降は高卒者の採用枠をメインに設けているといった内容の説明を受けたので、既卒や大卒の方は第1回目で合格できるように努めた方が良さそうです。

曹となってスペシャリストを究める道が基本となりますが、

幹部を目指したいという方は、先に出た一般幹部候補生を受験し合格をすることで幹部になることもできます。

通常、一般幹部候補生の募集年齢(大卒程度)は26歳未満ですが、なんと既に自衛官である人が受験した場合、28歳未満まで年齢制限が緩和されます。

また、3曹以上になってから幹部になりたいとなった場合は「一般幹部候補生(部内課程)」という曹から選抜されて幹部になる道もあります。

自衛官候補生

https://www.mod.go.jp/gsdf/jieikanbosyu/about/recruit/jieikankoho.html

自衛官候補生は、入隊時は階級が付されずに「自衛官候補生」に任命され教育を受けます。

一般曹候補生が入隊と同時に2士の階級を与えられるのと異なり、最初は自衛官ではありません。

あくまで自衛官のたまごとして、自衛官になるために頑張るような感じです。

入隊して3か月経つと2士となり、正式に自衛官に任官します。

「士」の階級は諸外国で言うところの「兵」にあたり、部隊の手足として活躍します。

士の階級の間は任期制自衛官と言い、任期が決められています。

1任期は陸自が1年9か月、海・空自が2年9か月として働き、任期ごとに契約を更新するか退職するかを選べます。民間企業の契約社員にあたるかと思います。

士長の階級に昇任してから、曹を目指すこともできますし、一般曹候補生と同様に幹部を目指すこともできます。

一般曹候補生と異なるのが、特例退職手当(俗に任期満了金、任満金、任満手当などと言われる)があることです。

他の採用区分と異なり、1年中募集がされていますので好きな時に応募することが出来ます。

防衛大学校学生

https://www.mod.go.jp/gsdf/jieikanbosyu/about/recruit/boeidai.html

陸・海・空自衛隊で将来幹部となる人を育てる学校の学生を募集する区分となります。

自衛官としての専門的な教育は卒業後に各自衛隊の幹部候補生学校で学びますので、ここでの4年間はさらにその前の素養教育ということで、主に通常の大学と同じようなカリキュラムが組まれています。

通常の大学と同様に卒業時には学士の資格を得ることが出来ます

通常の大学入試よりも早く試験が行われることと受験費用が無料のため、腕試しで受験する方も多いようです。

そのため実際の合格率よりも入校のハードルは低いようにも捉えられますが、

それでもレベルが高いことには変わりないので十分に対策をして受験することが必要です。

採用区分としては、推薦、総合選抜、一般の3種類があります。

防衛医科大学校学生

https://www.mod.go.jp/gsdf/jieikanbosyu/about/recruit/boeiidai-igaku.html

将来、自衛隊のお医者さんとなる幹部自衛官を育てるための学校となります。

通常の医学部と同様、4~6年間学んだうえで、各自衛隊の幹部候補生学校へと進みます。

入校すると学生という身分となりますが、特別職国家公務員となりますので、

授業料等は無く、さらに学生手当が支払われます。この点は防衛大学校も同様です。

防衛大学校と異なるのは、試験区分に推薦等は無く、一般入試のみという点が挙げられます。

採用区分としては、防衛医科大学校医学科学生と防衛医科大学校看護学科学生(自衛官候補看護学生)の2つがあります。

医学科学生は医師、看護学科学生は保健師・看護師を目指すものとなります。

高等工科学校生徒

https://www.mod.go.jp/gsdf/jieikanbosyu/about/recruit/kotokokagakko.html

防衛大学校等は3自衛隊の分け隔てなく教育を行う機関となりますが、この高等工科学校は陸上自衛隊の機関となります。

名前の通り工業高校や工科高校にあたる学校で、将来的に陸上自衛隊の技術分野の曹となる人材を育成しています。募集年齢も一番低く、基本的には中学校を卒業する人を対象としています。

技術陸曹のたまごといった感じです。

防衛大学校等と同様、入校すると特別職国家公務員の身分となるため、授業料等は無く、毎月学生手当が支払われます。

防衛に関することだけではなく一般教養の授業もありますので、卒業時にはちゃんと高卒の資格を得ることが出来ますし、防衛大学校に進学して幹部を目指すことも出来ます。

受験区分は一般と推薦があります。

自衛隊奨学生(旧:貸費学生)

https://x.com/JSDF_recruit/status/1311548237006790657

ここまでの採用区分と毛色が異なるのがこの自衛隊奨学生です。

学校教育法に規定する大学(短期大学および大学院を含む)、高等専門学校、専門大学又はこれらの学校に相当する外国の学校において、理学、工学、文学(語学)又は法学を専攻している者(今後専攻しようとしている者を含む。)で、卒業(終了)後その専攻した学術を活かして引き続き自衛隊に勤務する意志を持つ者に対し防衛省より学資金が貸与される制度です。

https://www.mod.go.jp/gsdf/jieikanbosyu/about/recruit/taihigakusei.html

特定の分野を学んでいる人で将来自衛隊で働きたいと考えている人に奨学金を貸与しますよという制度です。

大学等の卒業後は幹部候補生として採用され、さらに一定期間自衛官として勤務すると奨学金の返還が免除されるという特典付きとなります。

予備自衛官補

https://www.mod.go.jp/gsdf/jieikanbosyu/about/recruit/yobijieikanho.html

諸外国の軍隊には現役軍人と予備役軍人が居ます。

予備役とは、現役を終えた軍人が就く兵役のことです。平時は会社員などの普通の生活をしていて、非常時に召集されて軍務に就くといったものとなっています。

自衛隊でその予備役にあたるのが予備自衛官です。

ただし、自衛隊では現役→予備自衛官の人材だけではなく、最初から予備自衛官を目指す人のための採用区分が存在します。

それがこの予備自衛官補です。

本業の他に二足のわらじで自衛官もやりたいという方向けの採用区分です。

採用されて一定期間の教育訓練を修了すると、予備自衛官となることができます。

2011年の東日本大震災の際に初めて召集され、その後も熊本地震などで召集がされました。

募集区分としては、「一般」の他に特定の分野に精通した人を採用する「技能」があります。

まとめ

今回は自衛隊の採用区分について解説してきました。

ざっくりとした解説ではありましたが、自分に合う採用区分が分かっていただけたのではないでしょうか。

まとめると以下のようになります。

  • 自衛官採用試験は多くの採用区分がある
  • 大きく分けて幹部と曹士で入り口が違う
  • 自分の専門分野を活かせる採用区分がある
  • 本業をしながら自衛官にもなれる採用区分がある

この記事が自衛官採用試験を受けようとしている方の参考になれば幸いです。

それではまたよろしくお願いします。

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